【畢竟の苦と楽の用心】 寂照軒笑月

道を知らざれば朝夕心を苦しめ、我が身大事の
心にて人に情けなく、いたずらに獣のごとく生き、
やがて草木が朽ち果てるごとく滅する。
これ至って悲しきことならんや。

誠の楽は外にもとむるものにあらず,
貴賎貧富の差あろうとも、こは自然に定まりたることを
知りて邪なる心を去りて、身をよく慎むる時は
何事も恐るものなきものなり。

然らば身も心も自ずから易く、常に春秋の移ろいを見
花を見るにつけても過ぎたるありがたきこと
深くその喜びをこそ思えける。

富貴にても苦しみ貧しくも楽しむる者有り、
こはかく人の道を知ると知らざるの2つなりといいける。